名古屋市千種区にある心療内科・精神科・児童精神科『池下やすらぎクリニック』

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中高年期のストレス

院長ブログ Doctors File 当院のドクターがドクターズファイルに紹介されました。

仮面うつ病とは?

46歳のAさんは大手生命保険会社に勤務しています。バブル経済崩壊の後遺症で、会社の経営状態は赤字に転じています。営業成績を何とかしなくてはという思いにかられて毎日頑張っていました。まもなく、不眠が生じ、疲労感、頭重感、動悸、めまい、吐気も出現するようになりました。内科で精密検査を受けましたがどこも異常はないと言われました。神経科を訪れ、悩みを聞いてもらい、抗うつ剤の内服により3ヶ月後には上記の症状はすべて消失しました。 この症例は仮面うつ病の典型例といえます。仮面うつ病は、身体の症状が目立ち、精神症状に気づかれず、患者自身も身体の病気と考え神経科以外の一般の内科を訪れることが多いようです。この病気はうつ病が身体症状という仮面をかぶっているために、本来のうつ病の姿が目立たない状態です。しかし、本体はうつ病です。過労、ノイローゼ、自律神経失調症、更年期障害、心身症などと診断され、適切な治療が行われないで、医者を転々と変えるといったドクタ-ショッピングをすることも少なくありません。責任感が強く、几帳面、まじめで仕事熱心、他人に気をつかうなどの性格特徴がみられます。早目に専門医に相談して下さい。

仮面うつ病の症状と治療法について

仮面うつ病の身体症状として倦怠感や疲労感がみられます。このだるさや疲れは休んでもなかなか回復しません。不眠の訴えも多く、寝つきが悪い、深夜早朝に目が覚める、熟睡できないなどがあります。また食欲がない、食事がおいしくない、体重が減少したということもあります。その他、肩こり、めまい、頭痛、動悸、息切れ、ため息が多いなどがみられます。

見逃されがちとなる精神症状として気分の落ち込み、意欲の低下があり、テレビや雑誌をみてもつまらない、趣味が楽しめないことがあります。また、不安や焦燥感があり、何となく落ち着かず、居ても立ってもいられないこともあります。症状には周期的に繰り返されることや日内変動がみられる特徴があります。

治療上大切なことは、できるだけ休養をとり抗うつ剤を中心とした薬物治療を受けることが治癒への早道と言えます。不眠を伴った場合、睡眠導入剤はためらわずに飲んだ方がよいと思われます。休養するという意味からも抗うつ剤が効率よく効果を発揮してくれるためにも睡眠は十分に確保される必要があります。家族や友人や周囲の人たちは患者に対し負担となるような励ましや気晴らしのつもりの誘いかけはしないで下さい。また、気のせい、考えすぎ、気の持ちようだと簡単にすませず、この病気をより正確に理解し、温かく見守り、援助や協力をしてあげることが大切です。

更年期障害について

更年期の女性たちはそれまで考える間もなく忙しく追われてきた子育てが一段落し、子供がそろそろ独立し、やがて親のもとを巣だっていく時期にあたります。夫は会社中心の生活で、社会的な責任が重く多忙な時期を迎えています。かって愛の巣であった家庭は空っぽになって孤独感や虚無感に襲われます。この時期は肉体的にも精神的にも不安定となります。このような状態を空(から)の巣症候群といいます。こうした40歳から65歳頃の女性にイライラ、ゆううつな気分、不眠、疲労感、全身の倦怠感や痛み、肩こり、のぼせ感、動悸、息切れ、めまい、耳鳴り、生理不順などの症状が伴う場合は更年期障害や更年期うつ病が考えられます。他方、女性の更年期は「第二の思春期」と呼ばれ、これまでに気がつかなかったさまざまのことに対して余裕をもって考える時間ができます。
また、今後の半生の生きがいを考えていく上で大切な時期でもあります。老化していく自分をありのままに受け入れる一方で、母親として以外の自分自身の生き方をみつけだすことはその後の生活を生きがいのあるものにしていくためにも重要な課題であると思われます。

更年期障害の治療法

更年期障害は卵巣機能の衰退(身体型)によるもの以外に、心身症、神経症、うつ病などの心理的な原因によるものが半数以上を占めています。それぞれに治療法が異なります。

更年期障害の45%は卵巣機能の低下によるものとされています。この治療はホルモンの補充療法が有効とされています。また、心身症、神経症やうつ病によるタイプは併せて更年期障害の55%を占めるといわれます。生真面目で責任感が強い、几帳面や神経質などの性格的な原因によって環境にうまく適応できない人に多いようです。また、環境に無理して適応しようとするためストレスが生じ、体に破綻を来たす自滅タイプの人に多いといわれます。

更年期障害は単にホルモンを補充すれば症状が改善するというものではないようです。治療においては抗不安剤や抗うつ剤で劇的に改善することがあります。その他、自律訓練法、交流分析やバイオフィードバック療法が有効です。心理的な側面からカウンセリングを受けながら自分自身の役割について再検討し、次なる老年期を楽しく迎えるために人生設計を再構築していくことも大切なことです。

中高年期のストレス

近年、職場や家庭で何かとストレスを受けることが多く心身の不調を訴えて来院する中高年期(40~65歳)の患者数が増加しています。家庭では子どもがそろそろ自立し、職場では責任ある立場にあります。この年代は体力的な衰えを自覚したり、精神的に不安定になる時期でもあります。
身体的には加齢に伴い身体の不調、性欲の減退、生活習慣病(成人病)、更年期障害、記憶力や学習能力の低下が起こりやすくなります。

社会的には昇進や人事異動に伴い責任や負担が重なり、自分の能力に限界を感じたりします。また、定年退職、親類の死などを通じて、自分の死を意識するようになります。

家庭的には、子供が自立して親のもとを巣立って行く時期にあります。それまで子育てに生きがいを感じていた母親は子供の就職や結婚を通して空虚感や喪失感を体験することが少なくありません。

対処方法としてまず何が自分のストレスの原因になっているかを知る必要があります。さらに個別の危機に対し柔軟な対応ができるような価値観、相談できる人、趣味や生きがいがもてるように日頃から検討しておくことが大切です。

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